投資コラム
大口定期預金のデメリットとは?金利水準や中途解約のリスクなどを解説
大口定期預金とは、最低預入金額が1,000万円に設定された定期預金です。 普通預金や通常の定期預金より高い金利が適用されるケースも多く、まとまったお金の預け先としては有力な選択肢になるでしょう。 しかし、大口定期預金には […]
大口定期預金とは、最低預入金額が1,000万円に設定された定期預金です。
普通預金や通常の定期預金より高い金利が適用されるケースも多く、まとまったお金の預け先としては有力な選択肢になるでしょう。
しかし、大口定期預金にはいくつかのデメリットがあるのも事実です。
実際、退職金などでまとまった資金ができたものの、大口定期預金に預け入れていいのかどうか、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、大口定期預金のデメリットについて詳しく解説します。
大口定期預金で失敗しないためのポイントや、大口定期預金に向いている人・向いていない人の特徴などもまとめているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
- 大口定期預金のデメリットは?
⇒ 金利が低く、資金拘束を受けるため、効率的な資金運用が難しい! - 大口定期預金で失敗しないためのポイントは?
⇒ お金の使い道を明確にしたうえで、適切な預入期間を設定することが重要! - 大口定期預金がおすすめな人の特徴は?
⇒ 浪費癖がある人や、リスクを抑えて計画的に資産運用したい人におすすめ!
目次
- 大口定期預金のデメリット
- まとまったお金がなければ預け入れできない
- 預金保険制度の上限を超える可能性が高い
- ほかの資産運用と比べて利回りが低い
- 中途換金すると利率が下がる
- インフレになると資産が目減りする可能性がある
- 一定期間は資金が拘束される
- 障害者等のマル優(非課税貯蓄)が適用されないこともある
- 大口定期預金で失敗しないためのポイント
- しばらく使う予定がないお金を預ける
- 目的に合わせて預入期間を設定する
- 預け入れるお金は複数の銀行に分散させる
- キャンペーンや優遇金利を活用する
- 金利動向を意識しておく
- 大口定期預金がおすすめな人の特徴
- 浪費癖がある人
- リスクを抑えて計画的に資産運用したい人
- 大口定期預金がおすすめではない人の特徴
- 資産を効率よく増やしたい人
- お金の使い道が決まっていない人
- まとめ
大口定期預金のデメリット

大口定期預金のデメリットとしては、主に以下の7点が挙げられます。
- まとまったお金がなければ預け入れできない
- 預金保険制度の上限を超える可能性が高い
- ほかの資産運用と比べて利回りが低い
- 中途換金すると利率が下がる
- インフレになると資産が目減りする可能性がある
- 一定期間は資金が拘束される
- 障害者等のマル優(非課税貯蓄)が適用されない
大口定期預金を検討するうえで知っておくべき最低限の知識なので、それぞれ詳しくみていきましょう。
まとまったお金がなければ預け入れできない
大口定期預金は、まとまったお金がなければ預け入れできません。
大口定期預金の預入金額は1,000万円以上に定められており、少額では利用できない仕組みになっています。
一般的な定期預金と異なり、まとまったお金を一括で預け入れる必要があるため、資金に余裕がある方向けの商品といえるでしょう。
たとえば、退職金の受け取りや不動産の売却などで1,000万円以上のお金が手元にある場合は、預入先のひとつとして、大口定期預金が選択肢に入ってきます。
預金保険制度の上限を超える可能性が高い
大口定期預金では、基本的に預金保険制度の上限を超えます。
預金保険制度とは、銀行が破綻した際に元本1,000万円とその利息が保証される制度のことです。
一般的な大口定期預金の最低預入金額は1,000万円以上に設定されているため、預金保険制度で保護される範囲を超えてしまいます。
たとえば、1,500万円を大口定期預金として預けた場合、銀行が破綻した際に全額保護されるのは1,000万円とその利息までです。
残りの500万円とその利息は、戻ってこない可能性があります。
大口定期預金を利用する際は、預金保険制度の補償範囲を意識し、リスク管理を徹底することが大切です。
ほかの資産運用と比べて利回りが低い
ほかの資産運用と比べて利回りが低い点も、大口定期預金のデメリットといえるでしょう。
大口定期預金は元本保証があり、損失のリスクが極めて低い一方で、預金者に支払われる金利が抑えられているのです。
たとえば、メガバンクの大口定期預金金利は預入期間1年で年0.275%程度となっています。(2025年6月時点)
一方、株式投資や投資信託などの資産運用では、初心者でも5%程度の利回りを狙うことが可能です。
資産を効率よく増やしたい場合は、大口定期預金以外の運用方法も検討したほうがよいでしょう。
中途換金すると利率が下がる
大口定期預金を利用するデメリットのひとつは、中途換金すると利率が下がる点です。
大口定期預金では、満期まで預けることを前提に高めの利率が設定されています。
しかし、途中で解約した場合は当初の約定利率よりも低い、金融機関所定の「中途解約利率」が適用されてしまうのです。
中途解約利率は、普通預金金利や預入日数などによって変動します。
解約するタイミング次第では、利息が付かない可能性もあるので、満期まで資金を動かさずに済むかどうかをよく考えてから契約することが重要です。
インフレになると資産が目減りする可能性がある
大口定期預金では、インフレになると資産が目減りする可能性があります。
大口定期預金の金利は低く、満期が迎えるまで変動することはありません。
そのため、インフレによる物価上昇率が利率を超え、預けたお金の実質的な価値が下がってしまうことがあるのです。
たとえば、1,000万円を年0.2%の金利で大口定期預金に預けていた場合、1年間で受け取れる利息は2万円程度です。
しかし、同じ期間に物価が1%上昇すると、1,000万円の購買力が990万円分に目減りするので、預金利息では資産価値の減少をカバーできません。
実際、今の日本はインフレ基調にあり、消費者物価指数が前年比で2~3%を超えることも珍しくない状況です。(参照:消費者物価指数(CPI)|総務省統計局)
インフレに備えるのであれば、単に大口定期預金だけで運用するのではなく、高利回りが期待できる投資商品を組み合わせることも検討したほうがよいでしょう。
一定期間は資金が拘束される
大口定期預金のデメリットのひとつは、一定期間資金が拘束される点です。
大口定期預金では、満期を迎えるまで預けたお金を自由に引き出せません。
冠婚葬祭などでお金の工面が必要になったときも、大口定期預金は基本的に頼れないものとして考えておく必要があります。
所定の手続きを踏めば途中で解約することもできますが、利率が下がってしまうのでおすすめしません。
大口定期預金を利用する際は、急な出費に備えて、自由に動かせるお金を別途確保しておくことが重要です。
障害者等のマル優(非課税貯蓄)が適用されないこともある
大口定期預金では、障害者等のマル優(非課税貯蓄)が適用されないことがある点にも注意してください。
障害者等のマル優とは、障害者手帳の保有者や遺族年金の受給者などが利用できる制度で、元本350万円までの預貯金から生じる利子が非課税になります。
障害者等のマル優はお得な非課税制度ですが、銀行によっては大口定期預金への適用を認めていません。
利息には通常通り20.315%の税金が課せられることになるので、これまで恩恵を受けていた方にとっては大きなデメリットに感じられるでしょう。
大口定期預金への預け入れを検討する際は、障害者等のマル優の適用可否を銀行ごとに確認するようにしましょう。
大口定期預金で失敗しないためのポイント

大口定期預金で失敗しないためには、以下の5点を意識しておくことが大切です。
- しばらく使う予定がないお金を預ける
- 目的に合わせて預入期間を設定する
- 預け入れるお金は複数の銀行に分散させる
- キャンペーンや優遇金利を活用する
- 金利動向を意識しておく
あとで後悔することのないように、一つひとつのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
しばらく使う予定がないお金を預ける
大口定期預金で失敗しないためには、「しばらく使う予定がないお金を預ける」ことが重要です。
大口定期預金は途中で解約すると利息が大幅に減ってしまうので、引き出すことを前提に預け入れるものではありません。
そのため、毎月の生活費や緊急時に備えた生活防衛資金などを別途確保したうえで、残ったお金を大口定期預金に回すようにしてください。
目的に合わせて預入期間を設定する
「目的に合わせて預入期間を設定する」ことも、大口定期預金で失敗しないためのコツといえるでしょう。
大口定期預金では、預入期間が長くなればなるほど金利が高くなります。
しかし、満期を迎えるまでは資金拘束を受けてしまうので、長く設定しすぎるのも賢明な判断とはいえません。
そのため、いつ・いくら必要になるのかを明確にし、それに見合った預入期間を設定する必要があります。
一般的な大口定期預金は1カ月~10年の幅広い期間から選択できるので、必要に応じて短期・長期を使い分ければ、より効率的な資産運用が可能になるでしょう。
預け入れるお金は複数の銀行に分散させる
1,000万円以上の資産がある場合は、預け入れるお金を複数の銀行に分散させることをおすすめします。
元本1,000万円と利息が補償される預金保険制度は、銀行ごとに適用されるものです。
つまり、1,000万円ずつ2つの銀行に分けて預ければ、それぞれの銀行で1,000万円まで補償してもらうことができます。
また、複数の銀行にお金を分散させることで、いずれかの銀行でシステムトラブルや一時的な取引制限が発生した際にも、他行の口座が使えるので安心です。
キャンペーンや優遇金利を活用する
大口定期預金で失敗しないためには、「キャンペーンや優遇金利を活用する」ことも重要です。
同じ資金を預けるにしても、キャンペーンや優遇金利を受けられるかどうかでリターンは大きく変わってきます。
たとえば、キャンペーンの利用で金利が何倍にも上昇することは決して珍しくありません。
また、一定額以上のお金を預け入れるだけで、数万円の現金がもらえることもあります。
ただし、キャンペーンや優遇金利は期間限定であることがほとんどです。
大口定期預金への預け入れを検討する際は、各銀行の最新情報をこまめにチェックし、お得な特典がないかをよく確認してから申し込むようにしましょう。
金利動向を意識しておく
「金利動向を意識しておく」ことで、大口定期預金で失敗するリスクを抑えられます。
大口定期預金は、預け入れの時点で金利が固定されるうえ、簡単に解約できるものではありません。
そのため、金利が上昇している局面で預け入れてしまうと、あとからより高い金利の商品が登場した際に乗り換えができず、機会損失となるリスクがあるのです。
特に、近年は各銀行の金利が上昇傾向にあります。
短期で預けて様子をみる、分割して預けるなど、効率的な運用方法を意識するようにしましょう。
大口定期預金がおすすめな人の特徴
大口定期預金がおすすめな人の特徴としては、以下の2点が挙げられます。
- 浪費癖がある人
- リスクを抑えて計画的に資産運用したい人
それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
浪費癖がある人
浪費癖がある人には、大口定期預金がおすすめです。
まとまった資金を普通預金に預けていると、ATMやネットバンキングですぐに引き出せてしまうので、浪費癖がある人はついつい使い過ぎてしまうこともあるでしょう。
一方で、大口定期預金は一度預けると満期まで簡単に引き出せず、資金が強制的にロックされます。
中途解約するにもペナルティが発生してしまうため、自然と抑制力が働きます。
リスクを抑えて計画的に資産運用したい人
リスクを抑えて計画的に資産運用したい人にも、大口定期預金がおすすめです。
大口定期預金には元本保証があります。
銀行が破綻しない限りは損しないので、利息の分だけ、着実に資産を増やすことが可能です。
また、預入期間を幅広く選べるうえ、預入時に将来受け取れる利息が確定するため、ライフプランに合わせた運用ができます。
大口定期預金がおすすめではない人の特徴

大口定期預金がおすすめできない人の特徴としては、以下の2点が挙げられます。
- 資産を効率よく増やしたい人
- お金の使い道が決まっていない人
大口定期預金に向いていない理由を解説するので、自分自身の運用方針や性格を振り返りながら読み進めてみてください。
資産を効率よく増やしたい人
資産を効率よく増やしたい人は、大口定期預金の利用を控えたほうがよいでしょう。
大口定期預金の金利は、普通預金や通常の定期預金と比べて高く設定されていますが、それでも低い水準であることに変わりありません。
1,000万円を預けても、1年間で得られる利息は数万円程度にとどまります。
そのため、資産を大きく増やしたい場合は、リスクとのバランスを考慮しながら、投資に踏み切ることも検討してみてください。
お金の使い道が決まっていない人
お金の使い道が決まっていない人も、大口定期預金の活用は慎重に判断するべきです。
基本的に、大口定期預金に預け入れたお金は満期を迎えるまで引き出すことができません。
そのため、無計画に預け入れてしまうと、新たなお金の使い道が生じた場合に柔軟な対応がとれなくなってしまうのです。
結婚したり、家を購入したりする可能性が少しでもあるのであれば、普通預金や流動性の高い投資商品でひとまず運用することをおすすめします。
大口定期預金を活用する場合でも、預入期間を短期に設定しておくようにしましょう。
まとめ

大口定期預金を活用すれば、まとまったお金を安全に管理しながら、着実に利息を手にすることができます。
しかし、資金拘束を受ける、インフレに弱いといったように、いくつかのデメリットがあるのも事実です。
特に、金利が低い点は大きなデメリットに感じられる人も多いのではないでしょうか。
そのため、少しでも効率的に資産運用したいのであれば、潤沢な資産を投資に回すことも検討してみてください。
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