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投資コラム

買ってはいけない高配当株とは?特徴や見分け方を解説

株式投資を始める際は、高配当株を積極的に狙うのも選択肢のひとつです。 利回りの高い銘柄に投資することで、効率よく不労所得を形成できる可能性があります。 しかし、高配当株だからといって、安易に手を出してはいけない銘柄がある […]

株式投資を始める際は、高配当株を積極的に狙うのも選択肢のひとつです。

利回りの高い銘柄に投資することで、効率よく不労所得を形成できる可能性があります。

しかし、高配当株だからといって、安易に手を出してはいけない銘柄がある点にも十分注意しておかなければなりません。

配当にばかり注目していると、大きな損失を招くリスクがあります。

そこで本記事では、買ってはいけない高配当株の特徴や見分け方を解説します。

高配当株への投資で失敗しないためのコツなども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の概要
  • 買ってはいけない高配当株があるのはなぜ?
    ⇒ 配当金の減額・廃止リスクが高く、キャピタルゲインも狙いにくいから

  • 買ってはいけない高配当株の特徴は?
    ⇒ 配当金が異常に高く、配当性向が100%を超える銘柄には注意!

  • 高配当株で失敗しないためのコツは?
    ⇒ 配当利回りだけでなく、業績や将来性にも着目することが重要!

買ってはいけない高配当株が存在するのはなぜ?

高配当株は以下のような特徴があるので、買ってはいけないといわれることがあります。

  • 配当金の減額・廃止リスクが高い
  • キャピタルゲインが狙いにくい
  • 権利落ち日に株価が大きく下落しやすい

高配当株は魅力的な投資先ですが、デメリットもしっかりと理解したうえで、投資するかどうかを判断するようにしましょう。

配当金の減額・廃止リスクが高い

高配当株を買ってはいけないといわれる理由のひとつは、配当金の減額や廃止リスクが高いためです。

配当金は、企業の業績や経営判断によって変動するため、常に高額な配当を受け取れるとは限りません。

たとえば、コロナ禍や原材料価格の高騰などが原因で、多くの企業が減配・無配に踏み切っています。

また、2021年には高配当株として有名なJT(日本たばこ産業)が、紙巻きたばこ離れによる減収を理由に減配したことも大きな話題を呼びました。

減配・無配リスクを少しでも抑えるためには、企業の財務体質や配当方針をよく調べておくことが重要です。

キャピタルゲインが狙いにくい

株価の値上がりによるキャピタルゲインが狙いにくいことも、高配当株を買ってはいけないといわれる理由のひとつです。

たとえば、成長性の高いテクノロジー株や新興企業株は、配当を出さずに事業拡大へ利益を再投資するため、投資家からの期待感が高まり、株価が急騰しやすい傾向があります。

一方で、高配当株は成熟企業が多く、成長余地が限られているため、株価の値上がり幅が小さくなりがちです。

もちろん、高配当株でも業績が好調で株価が上昇するケースはあります。

しかし、基本的にはインカムゲイン重視の投資スタイルになることを理解しておきましょう。

権利落ち日に株価が大きく下落しやすい

高配当株は、権利落ち日に株価が大きく下落しやすい特徴があります。

すでに配当金を得る権利を獲得した投資家が、権利落ち日に株式を手放すためです。

理論上は、配当金相当分だけ株価が下落するため、高配当株の場合は下落幅も大きくなる傾向があります。

実際には、配当分以上に株価が下がるケースも少なくありません。

短期的な利益を狙う投資家にとっては、権利落ち日の急落リスクは大きなデメリットとなるため、慎重な判断が求められます。

買ってはいけない高配当株の特徴・見分け方

買ってはいけない高配当株の特徴としては、以下の5点が挙げられます。

  • 配当利回りが相場と比べて異常に高い
  • 配当額が急激に増えている
  • 業績が安定していない
  • 配当金の増減が激しい
  • 配当性向が100%を超えている

上記の点に着目して各銘柄を見分ければ、大きな損失を招くリスクを抑えられるでしょう。

配当利回りが相場と比べて異常に高い

買ってはいけない高配当株の代表的な特徴は「配当利回りが相場と比べて異常に高い」ことです。

業績悪化や赤字転落などの一時的な要因で株価が大きく下落し、結果的に配当利回りが高くなっているだけの可能性があります。

そのため、長期的な視点に立つと企業が倒産したり、将来的に配当が減額・廃止されたりするリスクが高いです。

高配当株の配当利回りは、5~7%台が一般的といえます。

配当利回りが10%を超えるような銘柄は危険度が高いので、手を出すかどうかは慎重に判断しなければなりません。

配当額が急激に増えている

「配当額が急激に増えている」ことも、買ってはいけない高配当株の特徴です。

配当額の急増は一時的な特別配当・記念配当による場合が多く、基本的には元の水準に戻ります。

配当金目当てで投資すると、いずれ配当金が減るだけでなく、減配時の株価下落によって損失が生じる可能性も否定できません。

配当額の急増が見られた場合は、業績の成長や安定したキャッシュフローに裏打ちされているものなのかを、確認しておくようにしましょう。

業績が安定していない

買ってはいけない高配当株の特徴としては、「業績が安定していない」ことも挙げられます。

配当金はあくまでも、企業の利益の一部を株主に還元するものです。

業績が不安定な企業は、配当金の原資となる収益が十分に確保できないため、減配や無配に転じるリスクが高いといえます。

特に景気や市況に業績が大きく左右される銘柄は、配当金も変動しやすいので注意しておかなければなりません。

配当金の増減が激しい

配当金の増減が激しい銘柄にも、うかつに手を出さないようにしましょう。

配当金が大きく増えたり減ったりする企業は、業績や財務状況が安定していない場合が多く、将来的に減配・無配となるリスクが高いからです。

たとえば、一時的な好調で配当金が急増した企業が翌年以降に業績が悪化し、大幅な減配や無配に転じるケースは決して珍しくありません。

配当利回りだけで投資先を選んでしまうと、安定した配当収入が得られず、配当金の減少とともに株価も下落し、二重の損失を被るリスクがあります。

配当性向が100%を超えている

配当性向が100%を超えていることも、買ってはいけない高配当株の特徴といえるでしょう。

配当性向が100%を超えているということは、企業が利益以上の金額を配当金として株主に支払っているということです。

つまり、既存の資金を取り崩して配当を維持している状況なので、企業の財務状況としては健全な状態にあるとはいえません。

企業が株主還元を重視する姿勢を見せていても、長期的には株価下落につながる可能性があります。

「買ってはいけない高配当株」に該当した銘柄の例

買ってはいけない高配当株の具体例として、大塚家具が挙げられます。

大塚家具は「配当利回りが異常に高い」「業績が安定していない」「配当性向が100%を超えている」「配当額が急激に増えている」といった、危険な高配当株の特徴すべてに該当した事例のひとつです。

たとえば、2015年の配当性向は400%を超え、2016年末の配当利回りは7.48%と非常に高い水準にありました。

さらには、経営権争いを背景に、株主へのアピール目的で配当金が2倍に上昇しました。

しかし、すでに業績は悪化し、赤字が続いていたのです。

2018年には無配となり、配当目当てで投資した株主は大きな損失を被りました。

大塚家具は2021年に上場廃止となり、ヤマダホールディングスの完全子会社となっています。

高配当株への投資で失敗しないためのコツ

高配当株への投資で失敗しないためのコツとして、以下の5点が挙げられます。

  • 分散投資を徹底する
  • 配当実績を確認しておく
  • 業績の安定感・成長度合いを見極める
  • 安く買えるタイミングまで待つ
  • 累進配当株を狙って投資する

株式投資の基本ともいえる内容なので、一つひとつのポイントをしっかりと押さえておきましょう。

分散投資を徹底する

高配当株への投資で失敗しないためには、「分散投資を徹底すること」が重要です。

高配当株は減配・無配や株価下落のリスクを抱えているため、特定の銘柄に集中投資すると一度に大きな損失を被る可能性があります。

一方で、複数の銘柄に投資していれば、いずれかで損失が生じたとしても、ほかの投資先の利益でカバーすることが可能です。

資金力に乏しい場合は、1株単位で購入できる単元未満株を利用することで、無理なく分散投資ができます。

なお、分散投資は異なる値動きをする銘柄を組み合わせることが重要です。

業種や国・地域などをできるだけ分散させることで、損失のリスクを最小限に抑えられます。

配当実績を確認しておく

高配当株への投資で失敗しないためのポイントとしては、「配当実績を確認しておくこと」も挙げられます。

過去の配当実績を調べ、安定して配当を出し続けているかを把握することで、将来的な減配リスクをある程度予想できるからです。

たとえば、何十期も連続で増配を続けている企業は、株主還元の姿勢が強く、今後も安定的な配当が期待できます。

一方、過去に減配・無配を繰り返している企業は業績が不安定で、今後も同じ流れを踏む可能性が高いといえるでしょう。

なお、配当実績は各企業の公式サイトのIR情報や証券会社の四季報などで簡単に確認できます。

業績の安定感・成長度合いを見極める

高配当株への投資で失敗しないためには、「業績の安定感・成長度合いを見極めること」も重要です。

企業の業績が不安定な状況だと、配当金の原資となる利益が確保できず、将来的に減配・無配となるリスクが高まります。

一方で、営業利益や経常利益が過去数年にわたって安定的に増加している企業は、配当の持続・増配の可能性が高いといえるでしょう。

配当利回りだけでなく、企業そのものの強さや将来性にも注目しておけば、損失のリスクを大きく減らすことができるはずです。

安く買えるタイミングまで待つ

高配当株に投資する際は、「安く買えるタイミングまで待つこと」を意識しておきましょう。

割安になったタイミングで購入すれば、高い配当利回りを実現できるだけでなく、株価が回復した際の値上がり益(キャピタルゲイン)も狙えるため、投資効率が大きく高まります。

ケースバイケースですが、相場全体が突発的に暴落した場合などは配当利回りが上昇しやすく、株価の回復も期待できるため、長期的な資産形成に有利な買い場となるでしょう。

高配当株を安く買うためには日々の株価や配当利回り、企業業績の動向をチェックし、焦らずじっくりタイミングを見極める姿勢が大切です。

累進配当株を狙って投資する

配当を重視する場合は、累進配当株を狙ってみるのもよいでしょう。

累進配当株は減配を避け、配当を維持・増加させることを基本方針とした銘柄のことです。

企業の業績が一時的に悪化した場合でも、安定した配当収入が期待できるため、長期的な資産形成に向いています。

なお、累進配当株は「実績」ではなく、あくまでも企業が打ち出す「方針」に基づくものです。

配当の維持・増加が約束されているわけでもないので、最終的には自分自身で将来性を見極める必要があります。

まとめ

高配当株は、ただ保有しているだけで大きなリターンを得られるため、好んで投資する人も少なくありません。

しかし、投資先の選定を誤ると、減配・無配になったり、株価そのものが下落したりして、損失を招く可能性もあります。

配当利回りももちろん重要ですが、業績や過去の配当実績などを確認したうえで、投資価値を判断することが大切です。

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