投資コラム
生活防衛資金はいくら必要?目安額や貯まったあとの預け先を解説
収入が途絶えたり大きな支出が続いたり、お金の工面が必要になった場合に役立つのが生活防衛資金です。 不測の事態は誰にでも起こり得ることなので、生活防衛資金は優先的に貯めておかなければなりません。 しかし、具体的にいくら貯め […]
収入が途絶えたり大きな支出が続いたり、お金の工面が必要になった場合に役立つのが生活防衛資金です。
不測の事態は誰にでも起こり得ることなので、生活防衛資金は優先的に貯めておかなければなりません。
しかし、具体的にいくら貯めておけばいいのかわからず、生活防衛資金の形成に着手できていない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、生活防衛資金の目安を世帯構成別に解説します。
生活防衛資金を効率よく貯めるためのコツなども紹介しているので、金銭的な不安から少しでも早く解放されたい方は本記事を参考にしてみてください。
- そもそも生活防衛資金とは?
⇒ 生活防衛資金は不測の事態に備えるお金のこと - 生活防衛資金の目安はいくら?
⇒ 生活費の3~12か月分が目安!世帯構成や収入に応じて調整しよう! - 生活防衛資金を効率よく貯めるためのコツは?
⇒ 支出を見直して、無駄遣いをなくすことが貯蓄への最短ルート!
目次
- 生活防衛資金とは?
- 生活防衛資金は不測の事態に備えるお金
- 預貯金とは別で確保しておく必要がある
- 生活防衛資金の目安はいくら?世帯構成別にシミュレーション
- 単独(独身)世帯|生活費の3~6ヵ月分
- 夫婦2人世帯|生活費の3~6ヵ月分
- 子育て世帯|生活費の6~12か月分
- h4:3人家族の場合
- h4:4人家族の場合
- 生活防衛資金を多めに確保したほうがよいケース
- 収入が安定していない場合
- 健康上の問題がある場合
- 金銭的な不安を感じやすい場合
- 生活防衛資金を効率よく貯めるためのコツ
- 目標額と期間を明確にする
- 生活防衛資金用の口座をつくる
- 先取貯金をする
- 固定費を削減する
- ボーナスや臨時収入を生活防衛資金に回す
- 転職や副業などで収入を増やす
- 生活防衛資金が貯まったらどこに預けるべき?
- まとめ
生活防衛資金とは?

まずは、生活防衛資金の役割や貯蓄するうえでの優先度について解説します。
生活防衛資金は不測の事態に備えるお金
生活防衛資金とは、不測の事態に備えて用意しておくお金のことです。
失業・病気・災害などによって突然収入が減少したり、予期せぬ高額な出費が発生したりすることは誰にでも起こり得ます。
その際に生活防衛資金があれば、一定期間生活水準を維持し、家計が破綻するのを防ぐことができるのです。
将来の不安を軽減し、充実した生活を送るうえで、生活防衛資金の存在は必要不可欠といえるでしょう。
預貯金とは別で確保しておく必要がある
生活防衛資金は、預貯金とは別で確保しておく必要があります。
生活防衛資金と預貯金では、役割が大きく異なるためです。
上述のとおり、生活防衛資金は不測の事態に備えて確保するお金を指します。
一方で、預貯金は結婚・マイホーム購入・子育てなど、将来のライフイベントのために積み立てるお金です。
たとえば、マイホームを購入するからといってお金を使い切ってしまい、生活防衛資金を確保していない状態だと、いざという時に生活が成り立たなくなる可能性があります。
基本的には、生活防衛資金を優先的に確保したうえで、将来に向けた預貯金を蓄えていくことが望ましいといえるでしょう。
生活防衛資金の目安はいくら?世帯構成別にシミュレーション

生活防衛資金の目安を世帯構成別にシミュレーションして紹介します。
とはいえ、確保しておくべき金額は人それぞれ異なるので、あくまでも参考のひとつにしてください。
なお、本章で言及している各世帯の平均消費支出額は、統計局の2024年「家計調査(家計収支編)調査結果」を参照しています。
単独(独身)世帯|生活費の3~6ヵ月分
単独(独身)世帯の場合は、生活費の3~6ヵ月分を生活防衛資金として貯めておくことをおすすめします。
単身世帯の消費支出額は、月平均169,547円です。
よって、生活防衛資金の目安は「169,547円×3~6ヵ月=約51~102万円」となります。
単独(独身)世帯であれば、不測の事態が起きた場合でも身動きがとりやすく、柔軟に対応することが可能です。
そのため、50万円から100万円程度の生活防衛資金があれば、元の水準に戻るまでの生活を十分維持できるでしょう。
夫婦2人世帯|生活費の3~6ヵ月分
夫婦2人世帯の場合も、生活費の3~6ヵ月分を生活防衛資金として確保しておくとよいでしょう。
夫婦2人世帯の平均消費支出額は、月額268,755円です。
したがって、生活防衛資金を貯める際は「268,755円×3~6ヵ月=約81~161万円」を目安にしてみてください。
なお、夫婦2人世帯では共働きかどうかによっても、必要な生活防衛資金の金額が変わってきます。
共働きであれば、いずれか一方の収入は基本的に確保できるはずなので、生活防衛資金の金額を減らして、投資などに回すのも選択肢のひとつです。
子育て世帯|生活費の6~12か月分
子育て世帯の場合は、生活費の6~12か月分を生活防衛資金の目安にしてください。
子どもがいると、教育費をはじめ、支出が大幅に増加します。
さらに、自由に身動きがとれなくなるため、不測の事態が生じてから元の生活を取り戻すまでに時間がかかりやすいです。
そのため、単身世帯や夫婦2人世帯の場合と比べて、生活防衛資金を多めに確保しておく必要があります。
h4:3人家族の場合
3人家族の平均消費支出額は、月額310,096円です。
したがって、「310,096円×6~12ヵ月=約186~372万円」を目安に生活防衛資金を貯めておきましょう。
h4:4人家族の場合
4人家族の平均消費支出額は、月額341,400円です。
したがって、「341,400円×6~12ヵ月=約205~410万円」が生活防衛資金の目安になります。
子育て世帯はいざというときの備えを手厚くしておく必要があるため、少しでも早く、計画的に貯蓄を進めるようにしましょう。
生活防衛資金を多めに確保したほうがよいケース

生活防衛資金を貯める際は、世帯構成以外にもさまざまな事情を考慮したうえで適正額を判断するべきです。
例えば、以下のようなケースでは、生活防衛資金を多めに確保しておいたほうがよいでしょう。
- 収入が安定していない場合
- 健康上の問題がある場合
- 金銭的な不安を感じやすい場合
それぞれのケースを詳しく解説するので、自身の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。
収入が安定していない場合
収入が安定していない場合は、生活防衛資金を多めに確保したほうがよいでしょう。
フリーランス・契約社員・個人事業主などは、会社員に比べて失業手当や傷病手当などの社会保障が手薄です。
つまり、収入が途絶えた場合に、より長期間の生活費を自力でカバーしなければなりません。
たとえば、単身世帯の会社員は生活費の3~6カ月分が目安とされていますが、収入が不安定な人は最低でも6カ月分~1年分、場合によってはそれ以上の生活防衛資金を確保することが推奨されます。
健康上の問題がある場合
健康上の問題がある方も、生活防衛資金を多めに確保するようにしてください。
心身が健康であれば、失業などで一時的に生活が苦しくなっても、復活するまでにそれほど時間はかからないでしょう。
しかし、持病や体調不良によって働けなくなると、長期間にわたって収入が途絶えたり、医療費がかさんだりする可能性があります。
そのため、健康状態にもよりますが、最悪の事態を想定したうえで、生活防衛資金の額を調整しておくことが重要です。
金銭的な不安を感じやすい場合
金銭的な不安を感じやすい方も、生活防衛資金を多めに確保しておくとよいでしょう。
生活防衛資金はいざという時に役立てられるだけでなく、金銭的な不安からくるストレスを緩和してくれる存在でもあります。
自分にとって満足のいく金額を生活防衛資金として確保することができれば、将来に向けた貯蓄や投資にも踏み出しやすくなるはずです。
ただし、世帯構成が変わったり、転職したりするとお金に対する考え方も変わってくるので、生活防衛資金の適正額はその都度見直すようにしてください。
生活防衛資金を効率よく貯めるためのコツ

生活防衛資金を貯める際には、以下の6点を意識してみてください。
- 目標額と期間を明確にする
- 生活防衛資金用の口座をつくる
- 先取貯金をする
- 固定費を削減する
- ボーナスや臨時収入を生活防衛資金に回す
- 転職や副業などで収入を増やす
生活防衛資金は少しでも早く確保しておく必要があるので、計画的な貯蓄を心がけましょう。
目標額と期間を明確にする
生活防衛資金を効率よく貯めるためには、目標額と期間を明確にすることが重要です。
具体的な目標額と達成までの期間を設定することで、毎月いくら貯めればよいかが明確になり、計画的に貯蓄を進められるようになります。
たとえば、1年後までに生活防衛資金120万円を貯めると決めたのであれば、逆算して毎月10万円を貯蓄に回せばよいことがわかるわけです。
また、やみくもに貯蓄するよりモチベーションを維持しやすい点も、具体的な目標を立てるメリットといえます。
ただし、目標額や期間は家族構成や収入、将来のライフプランによって変動するため、年に一度は見直しをおこなうことが大切です。
生活防衛資金用の口座をつくる
生活防衛資金を効率よく貯めたいのであれば、生活防衛資金用の口座をつくりましょう。
生活費や通常の貯金と同じ口座で管理していると、生活防衛資金に充てるお金をほかの用途に使ってしまうことがあります。
その点、生活防衛資金専用の口座を開設し、毎月決まった額やボーナス分を自動的に入金するようにすれば、ほかの支出と切り離して着実に資金を積み上げられるでしょう。
また、専用口座にすることで貯まった金額がひと目でわかるので、目標額までの進捗状況が把握しやすくなるほか、貯蓄へのモチベーションにもつながるはずです。
先取貯金をする
生活防衛資金を貯める際は、先取貯金をおすすめします。
先取貯金とは、給料が振り込まれたタイミングで一定額を貯蓄用口座に移す方法のことです。
浪費を防ぎ、残ったお金だけで生活する習慣が身につくので、堅実に生活防衛資金を積み上げることができます。
自動積立サービスを提供している金融機関も多いので、有効に活用してみてください。
ただし、先取貯金が原因で生活難に陥っては本末転倒なので、無理のない金額を設定することが継続のコツです。
固定費を削減する
生活防衛資金を効率よく貯めるためには、固定費を削減することも重要です。
毎月発生する固定費を減らすことで、貯蓄に回せるお金が増え、生活防衛資金の積み上げスピードが大きく向上します。
また、固定費は一度の見直しで支出を長く抑えられるので、細かな節約を繰り返すよりも効率的でストレスもかかりません。
たとえば、以下のような固定費について削減の余地がないか見直してみてください。
- インターネット回線料金
- スマートフォンの通信費
- クレジットカードの会費
- 新聞の購読料
- スポーツクラブの会費
- セキュリティサービス
- 保険料
- 水道光熱費
- 駐車場代
- 家賃
特に、サブスクリプションサービスは細かく見直すことをおすすめします。
ほとんど使っていないサービスに月額料金を支払っている場合も多いので、思い切って解約することも検討してみてください。
ボーナスや臨時収入を生活防衛資金に回す
ボーナスや臨時収入が入った場合は、積極的に貯蓄するようにしましょう。
まとまった金額を生活防衛資金に回すことができれば、目標額までの到達期間を大幅に圧縮できます。
また、毎月の収支に余裕がない場合は、ボーナスの一部だけでも生活防衛資金に回してみてください。
ボーナスや臨時収入はついつい娯楽に使いたくなりますが、生活防衛資金が十分に確保できていないときは、優先的に貯蓄に回すことが大切です。
転職や副業などで収入を増やす
生活防衛資金の確保に着手する際には、転職や副業などで収入を増やすことも検討してみてください。
毎月の収入が少ない場合、いくら節約や先取貯金を心がけても貯蓄に回せる金額に限界があります。
無理に貯蓄しようとすると、日々の生活が成り立たなくなるので、まずは収入を増やすことを優先するべきです。
なお、副業で稼ぐ場合は、会社の規則や税金の取り扱いにも注意しておきましょう。
生活防衛資金が貯まったらどこに預けるべき?

生活防衛資金が貯まったあとの預け先としては、定期預金がおすすめです。
定期預金は元本保証があるため、安全に資産を管理しながら、不測の事態に備えることができます。
また、普通預金よりも金利が高い傾向にあるので、効率よく資産を増やせるのも大きなメリットといえるでしょう。
定期預金は中途解約が認められているものの、満期まで解約しないのが原則なので、使い込みも防げるはずです。
安定性・金利・流動性のバランスを考えると、生活防衛資金の預け先としては定期預金が適しています。
まとめ
収入が途絶えたり、大きな支出が続いたりと、不測の事態は誰にでも起こり得ます。
そのため、元の生活を取り戻すまでの生活防衛資金は優先的に確保するようにしてください。
しかし、無計画に取り組んでも効率が悪くなるうえ、モチベーションも続きません。
無理のない範囲で計画的に貯蓄を進めることが、生活防衛資金の確保に向けた最短ルートといえるでしょう。
そして、生活防衛資金が十分に貯まれば、将来に向けた貯蓄、投資へとステップアップしていくことをおすすめします。
