投資コラム
純金融資産とは?対象となる資産の種類や計算方法を解説
資産形成や家計管理に取り組むなかで、純金融資産という言葉を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。 純金融資産とは、預貯金や株式などの金融資産から負債を差し引いた金額のことです。 自身の経済力を把握する際の指標 […]
資産形成や家計管理に取り組むなかで、純金融資産という言葉を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。
純金融資産とは、預貯金や株式などの金融資産から負債を差し引いた金額のことです。
自身の経済力を把握する際の指標のひとつとして広く活用されています。
しかし、純金融資産が具体的に何を指していて、どのように算出されているのかを正しく理解している方は多くないはずです。
そこで本記事では、純金融資産の定義や計算方法などをわかりやすく解説します。
純金融資産を増やすための具体的な方法も紹介しているので、参考にしてみてください。
- 純金融資産とは?
⇒ 金融資産から負債を差し引いた実質的な手持ち資産のこと - 純金融資産を把握するメリットは?
⇒ 流動性の高い資産を洗い出し、自身の経済状況を客観的に把握できる! - 純金融資産を増やすには?
⇒ 家計管理を徹底しながら、余剰資金で資産運用するのがおすすめ!
目次
純金融資産とは

純金融資産とは、預貯金や株式・投資信託などの「金融資産」から、住宅ローンやカードローンなどの「負債」を差し引いた金額のことです。
もともとは、野村総合研究所が日本の世帯を資産規模で分類する際に、純金融資産を用いていました。
それが今では、世帯の経済力を測る基準として幅広く活用されるようになっています。
たとえば、預貯金や投資信託などの金融資産が3,000万円で、住宅ローンの残債が1,200万円残っている場合の純金融資産は1,800万円です。
なお、詳しくは後述しますが、純金融資産に含まれるのは預貯金をはじめとした現金化しやすい資産が中心となります。
つまり、純金融資産を把握すれば「いざというときに動かせるお金がどれだけあるか」を正確に見極められるため、資産形成の目標設定や家計管理に大いに役立つでしょう。
純金融資産と金融資産・総資産の違い

純金融資産と似た言葉に「金融資産」や「総資産」があります。
それぞれに意味合いが異なるため、混同しないように違いを押さえておきましょう。
金融資産との違い|負債を差し引くかどうか
金融資産と純金融資産の最大の違いは、負債を差し引くかどうかという点にあります。
金融資産は、預貯金・株式・投資信託・保険など、比較的容易に現金化できる資産の合計額を指す言葉です。
一方、純金融資産は、上記の金融資産から住宅ローンやカードローンなどの負債を差し引いて算出します。
たとえば、金融資産が4,000万円あったとしても、住宅ローンの残債が1,500万円ある場合、純金融資産は2,500万円となります。
金融資産の額面だけに注目すると、実際に使えるお金を多く見積もってしまうおそれがある点に注意が必要です。
自身の経済状況を実態に即した形で評価したいときは、負債も反映した純金融資産で判断しましょう。
総資産との違い|不動産などの実物資産を含むかどうか
純金融資産と総資産の違いは、実物資産を計算に含めるかどうかという点です。
純金融資産として扱うプラスの資産は、預貯金や有価証券などの金融資産だけです。
一方、総資産は、金融資産だけでなく、不動産や自動車などの実物資産も合わせた金額を指します。
たとえば、2,000万円分の預貯金と評価額3,000万円の不動産を保有している場合、純金融資産は2,000万円、総資産は5,000万円です。
実物資産は資産価値が高くても売却までに時間がかかることが多く、すぐに現金として活用できるとは限りません。
資産形成の計画を立てる際は、総資産と純金融資産の両方を確認し、バランスよく管理していくことが大切です。
純金融資産を把握する2つのメリット

純金融資産を把握するメリットは以下の2点です。
- 流動性が高い資産がどれだけ手元にあるかを確認できる
- 自身の経済力を客観的に評価できる
純金融資産を把握しておくと、資産管理や将来設計の精度が大きく向上するので、ぜひ参考にしてください。
流動性が高い資産がどれだけ手元にあるかを確認できる
純金融資産を把握する1つ目のメリットは、現金化しやすい資産の規模を確認できることです。
日々生活を送る中では突然の失業や病気、災害など、いつ予期せぬ出費が発生するかわかりません。
こうした場面に備えるためには、流動性の高い資産がどれだけあるかを把握しておく必要があります。
たとえば、総資産が5,000万円であっても、その大半が不動産であれば、緊急時にすぐ動かせるお金はごくわずかです。
一方、純金融資産が3,000万円あれば、短期間で現金化できる資産が潤沢にあるということなので、急な出費にも落ち着いて対応できるでしょう。
また、生活防衛資金や投資資金は、純金融資産の中から確保するケースが一般的です。
定期的に純金融資産をチェックしておけば、安定した家計運営・資産形成に役立つでしょう。
自身の経済力を客観的に評価できる
純金融資産を把握する2つ目のメリットは、自身の経済力を客観的に評価できる点にあります。
金融資産の額面だけを見ていると、負債の存在を見落とし、実態よりも裕福だと錯覚してしまうケースも少なくありません。
その点、純金融資産は負債を差し引いた正味の資産額を示しているため、どの程度の経済的余裕があるのかを判断しやすくなります。
また、野村総合研究所は純金融資産保有額に基づいて日本の世帯を5つの階層に分類しています。
自分がどの階層に該当するかを知り、「5年後には富裕層に入る」などと目標設定すれば、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
純金融資産の計算で用いる金融資産と負債の種類

純金融資産を正しく算出するためには、何が金融資産に含まれ、何が負債に該当するのかを正確に理解しておく必要があります。
ここでは、純金融資産の計算に用いる金融資産と負債の種類をそれぞれ詳しく解説します。
| 金融資産(プラス) | 負債(マイナス) |
|---|---|
|
|
金融資産に該当するもの
純金融資産の計算において、金融資産に該当するものは主に4種類あります。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
現金・預貯金
最も身近な金融資産は、手元にある現金や銀行に預けている預貯金です。
預貯金は普通預金・定期預金・積立預金など種類を問わず、すべて金融資産として計上されます。
まずは保有している口座の残高を確認し、自宅で保管している現金も忘れずに合算しましょう。
複数の銀行口座を持っている場合は、家計管理アプリなどで一元管理しておくと見落としを防げます。
株式や債券などの有価証券
株式・債券・投資信託などの有価証券も金融資産に該当します。
純金融資産の計算では、これらの有価証券を時価で評価するのが原則です。
証券口座の評価額は日々変動するため、定期的に残高をチェックし、最新の数値を把握しておきましょう。
なお、NISAで運用している有価証券についても金融資産に含まれます。
貯蓄型の保険
金融資産を計算する際は、貯蓄性のある保険商品も含めるようにしましょう。
掛け捨て型の保険とは異なり、貯蓄型の保険は解約時や満期時にまとまったお金が返ってくるため、資産としての価値を持っています。
終身保険・養老保険・個人年金保険などに加入している場合は、漏れなく計上してください。
純金融資産の計算にあたっては、現時点の解約返戻金を基準に評価するのが一般的です。
解約返戻金の額は、保険会社のマイページなどで手軽に確認できます。
なお、貯蓄型の保険は契約から間もない時期に解約すると、払い込んだ保険料を大きく下回る可能性があります。
純金融資産の計算に含めること自体は問題ありませんが、無理のない範囲で掛金を設定し、長く運用できるように心がけましょう。
iDeCoや企業型確定拠出年金などの私的年金
iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金などの私的年金も、金融資産に分類されます。
将来の受給見込み額ではなく、現時点の評価額を計上してください。
一方、公的年金(国民年金・厚生年金)は資産そのものではなく、将来的にお金を受け取れる権利にすぎません。
現時点で評価額を確定させることが難しいため、金融資産には含めないケースが一般的です。
負債に該当するもの
純金融資産を正確に把握するには、金融資産だけでなく負債も漏れなく計上する必要があります。
ここでは、差し引きの対象となる主な負債を4つ紹介します。
住宅ローンや自動車ローン
住宅ローンや自動車ローンは、多くの世帯が抱える代表的な負債です。
特に住宅ローンは借入額が大きくなりやすく、純金融資産を大幅に引き下げる要因となります。
たとえば、金融資産が4,000万円あったとしても、住宅ローンの残債が2,500万円あれば、純金融資産は1,500万円にとどまるわけです。
金融機関のマイページや返済予定表を活用すれば、現在の残債を手軽に把握できるはずです。
純金融資産を計算する際には、各ローンの最新の残高を確認し、正確に差し引くようにしましょう。
カードローン
カードローンの借入残高も、純金融資産の計算においては負債として差し引きます。
借入先は問わず、銀行や消費者金融でのカードローンはすべて負債として計上してください。
複数のカードローンを利用している場合は、すべての借入残高を合算するようにしましょう。
また、クレジットカードのキャッシングも一時的にお金を借り入れている状態なので、負債に含める必要があります。
奨学金
学生時代に借りた貸与型の奨学金も、返済が残っている限り負債に該当します。
奨学金は低金利または無利子なので負債として意識しにくいですが、事実上借金と同じです。
卒業後数十年にわたって返済していく必要があり、純金融資産を把握するうえではマイナス計上しなければなりません。
奨学金は高額な負債であることが多く、計上漏れがあると純金融資産の額が大きく変わってしまいます。
知り合いからの借金
家族や友人からの借金は口約束で済ませたり、返済記録が残っていなかったりするので、曖昧にしがちです。
しかし、純金融資産を正確に把握するためには、個人間の借金であっても漏れなく計算に含めなければなりません。
たとえば、親から一時的に100万円を借りている場合、それが贈与ではなく返済を前提とした貸付であれば、負債として差し引きます。
なお、後々のトラブルを避けるためにも、個人間の貸し借りについては金額や返済条件を書面に残しておくのがおすすめです。
純金融資産を計算する際の注意点

純金融資産を計算する際には、以下の2点に注意しておく必要があります。
- 持ち家(不動産)などの実物資産は金融資産に含めない
- 評価額は時価で統一する
正確な数値を出すために欠かせないポイントなので、しっかりと押さえておきましょう
持ち家(不動産)などの実物資産は金融資産に含めない
純金融資産を計算する際、持ち家や土地などの不動産は金融資産に含めません。
純金融資産は、現金や預貯金などの「金融資産」から負債を差し引いて算出するものです。
不動産・自動車・貴金属・美術品といった「実物資産」を含めてしまうと、正確な数字が出せなくなります。
たとえば、評価額5,000万円の自宅と預貯金1,500万円を保有し、住宅ローンの残債が500万円ある場合、純金融資産は「1,500万円-500万円=1,000万円」です。
持ち家の資産価値を加えると、実際に動かせるお金を過大に見積もることになり、資産計画に狂いが生じるおそれがあります。
純金融資産を算出する際には「現金化しやすい資産だけが対象」という原則を意識してください。
評価額は時価で統一する
純金融資産を正確に把握するためには、すべての金融資産を時価で評価することが重要です。
購入時の価格(取得価額)や将来の見込額で計算してしまうと、実態とかけ離れた数値になりかねません。
たとえば、100万円で購入した株式が値上がりして150万円になっていれば、150万円で計上するのが正しい方法です。
反対に、株式が80万円まで値下がりしている場合は、80万円として計算しなければなりません。
株式や投資信託などの有価証券は日々価格が変動するため、評価のタイミングによって純金融資産の額も変わります。
毎月末や四半期ごとなど、定期的に時価を確認する習慣をつけておきましょう。
純金融資産の保有額に基づく5つの階層ピラミッド

野村総合研究所では、純金融資産保有額に基づいて日本の世帯を5つの階層に分類しています。
各階層の基準と世帯数は以下のとおりです。
| 階層名 | 純金融資産保有額 | 世帯数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 超富裕層 | 5億円以上 | 約11.8万世帯 | 0.21% |
| 富裕層 | 1億円以上5億円未満 | 約153.5万世帯 | 2.76% |
| 準富裕層 | 5,000万円以上1億円未満 | 約403.9万世帯 | 7.25% |
| アッパーマス層 | 3,000万円以上5,000万円未満 | 約576.5万世帯 | 10.35% |
| マス層 | 3,000万円未満 | 約4,424.7万世帯 | 79.43% |
2025年に公表のデータでは、全体の約8割がマス層に属しており、純金融資産3,000万円以上の世帯は上位約2割に限られます。
アッパーマス層に到達するだけでも、全世帯の上位約20%に入る計算です。
まずは自身の純金融資産を算出し、現在どの階層に位置しているのかを確認してみましょう。
そのうえで、次の階層へ上がるにはあといくら必要なのかを逆算すれば、資産形成のゴールがより具体的になるはずです。
関連記事:アッパーマス層とは?年代・年収別の割合や属している人の特徴を解説
純金融資産の増加に向けて取り組むべき4つのこと

ここでは、純金融資産の増加に向けて実践すべき4つのポイントを解説します。
- 家計を見直して支出を抑える
- キャリアアップや副業で収入を増やす
- 負債の最適化を図る
- 資産運用で収入源を増やす
純金融資産を増やすためには、日々の行動を見直し、計画的に取り組んでいくことが大切です。
家計を見直して支出を抑える
金融資産を増やすうえで、まず取り組みたいのが家計の見直しです。
収入がいくら高くても、支出が多ければ手元にお金は残りません。
特に効果が大きいのは、毎月一定額が発生する固定費の削減です。
以下のような固定費は、削減の余地がないか一度見直してみましょう。
- スマートフォンやインターネットなどの通信費
- 電気・ガスなどのインフラ料金
- 定額動画配信サービスなどのサブスクリプション料金
- 生命保険や医療保険などの保険料
- スポーツジムや習い事の月会費
また、食費や交際費といった変動費についても、家計簿アプリなどを活用して「何にいくら使っているか」を可視化することが重要です。
支出の内訳を把握すれば、無理のない範囲で削減できるポイントが自然と見えてきます。
小さな改善の積み重ねが、長期的に大きな資産の差を生むことを覚えておきましょう。
キャリアアップや副業で収入を増やす
支出の見直しと合わせて、収入そのものを増やす取り組みも純金融資産の増加には欠かせません。
支出の削減には限界がありますが、収入の上限は工夫次第で引き上げられます。
本業においては、資格の取得やスキルの習得によって昇給・昇進を狙うのが王道の方法といえるでしょう。
より高い年収が見込める企業や業界への転職を検討するのもひとつの選択肢です。
また、近年は副業を解禁する企業が増えており、本業以外の収入源を作りやすい環境が整いつつあります。
たとえば、Webライティングやプログラミング、動画編集などのスキルを活かした副業であれば、在宅で本業と両立しながら取り組むことも可能です。
収入が増えた分をそのまま生活費に回すのではなく、貯蓄や投資に充てる意識を持つことで、純金融資産の増加ペースは一段と加速することが期待できます。
負債の最適化を図る
純金融資産は金融資産から負債を差し引いて算出するため、負債を減らすことも純金融資産の増加に直結します。
まず優先すべきは、金利の高い負債の返済です。
カードローンやリボ払いなどは高金利が設定されていることも多く、放置するほど利息の負担が膨らんでいきます。
余剰資金がある場合は、繰上返済を活用して早めに完済することを検討しましょう。
一方、住宅ローンのように金利が低く、返済期間が長い負債については、無理に一括返済する必要はありません。
手元の資金を返済に充て過ぎると生活防衛資金が不足し、かえって家計破綻のリスクを高めるおそれがあるためです。
適切に返済の優先順位をつけることが、負債の最適化において重要なポイントといえます。
資産運用で収入源を増やす
純金融資産をさらに伸ばしていくためには、貯蓄だけでなく資産運用にも目を向けることが大切です。
銀行の預金金利も上昇傾向にありますが、利回りが1%を超えることは少なく、大きな資産の増加は見込みにくいでしょう。
一方、投資信託や株式、債券などを活用すれば、預貯金よりも高い利回りで資産を増やせる可能性があります。
たとえば、毎月5万円を年利5%で20年間積み立て、利益を再投資し続けた場合、元本1,200万円に対して運用益は800万円を超える計算です。
長期運用と複利の力を活かすことで、資産は加速度的に増加していく可能性があります。
ただし、投資には元本割れのリスクが伴うため、いきなり大きな金額を投じるのは避けたほうがよいでしょう。
少額から始め、慣れてきたころに投資額を増やすようにしてください。
純金融資産に関してよくある質問

最後に、純金融資産に関してよくある質問を紹介します。
同様の疑問を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
純金融資産がマイナスになるのはどんなとき?
純金融資産がマイナスになるのは、保有する金融資産の合計額よりも負債の合計額が上回っているときです。
預貯金を全額引き出し、株式などの有価証券をすべて売却しても、借金を完済できないことを意味します。
たとえば、預貯金や有価証券などの金融資産が1,000万円で、住宅ローンの残債が3,000万円ある場合、純金融資産はマイナス2,000万円です。
特に住宅を購入した直後は多額のローンが残る一方、金融資産が十分に積み上がっていないことが多く、純金融資産はマイナスになりやすいといえます。
ただし、純金融資産がマイナスであることが、必ずしも危険な状態を示すわけではありません。
重要なのは、収支のバランスを保ちながら、着実に負債を減らしていく見通しが立っているかどうかです。
退職金(予定額)は純金融資産の計算に含めて計算する?
退職金の予定額は、原則として純金融資産に含めません。
退職金はあくまでも「将来」の収入であり、「現在」の純金融資産に含めるのは適切ではないからです。
退職金を実際に受け取ったときに、手元に残った金額を純金融資産に加算することになります。
まとめ

純金融資産とは、預貯金や有価証券などの金融資産の合計額から、住宅ローンやカードローンなどの負債を差し引いた金額のことです。
不動産などの実物資産を含まずに算出しているため、いざというときに動かせる資産だけを正確に把握できます。
純金融資産を算出する際は、すべての金融資産を時価で評価し、負債を漏れなく差し引くことがポイントです。
純金融資産の増加を目指すにあたっては、支出を削減し、収入を増やすことが大前提です。
そのうえで、余剰資金が出てきたときは、資産運用にも積極的にチャレンジしてみましょう。
